調剤業務の詳細

調剤業務とは何なのか?大まかに説明してきましたが、今回はもうちょっと詳しく、具体的に記載してみました。
薬剤師を目指す学生さんや患者さんにも、参考になるようできるだけわかりやすく書いたつもりです。

■ 処方箋の記載内容

患者氏名、生年月日、性別
薬品名、分量、用法、用量
処方箋の交付年月日と有効期限
保健医療機関の所在地と名称
保険医の氏名(記名・押印)
保険者番号、被保険者証・被保険者手帳の番号・記号
被保険者か被扶養者のいずれかに○
公費負担番号、公費負担医療の受給者番号

■ お薬伺い書

初めて薬局に来る患者さんには、薬歴簿は存在しません。したがって、その患者さんの体質、アレルギー歴、副作用歴、他の疾病と診療機関、服用中の薬剤と服用歴、嗜好品等がわかりません。

それでは、患者さんに適切な服薬指導ができないばかりでなく、重大な医療事故につながりかねません。

患者さんに安心して服薬してもらうためにも、薬歴簿に最低限記載すべき内容に関しては、初来局時に

患者さんから情報を収集するべきです。

お薬伺い書はそのための書類と考えてください。

■ 薬局内の在庫状況

すべての医療機関からの処方箋を受け付ける義務がある調剤薬局ですが、すべての医療機関から処方される薬剤を保管しているわけにもいきません。当然在庫していない薬剤が処方される場合もあるでしょう。

そのような時は、近隣の薬局への問い合せ、卸さんへの問い合せなどを行い、迅速な入手が可能であれば、

患者さんにその旨を伝え、後で取りに来てもらうあるいは届ける等の方法をとります。

また、入手が困難なことが判明した場合、処方医師へ問い合せ、同種同効の他の薬品に処方を変更してもらう等の方法をとることもあります。

■ 処方医師への問い合せ

処方内容について処方医師へ問い合せる必要のある場合はだいたい以下のとおりです。

1 患者の体質上、好ましくない処方内容の場合
例)患者は卵アレルギーなのに関わらず、塩化リゾチーム配合薬品が処方されている場合

2 他の医療機関や診療科から、同一または同種同効薬品が処方されている場合
例)内科と歯科の両方から抗生物質が処方されている場合

3 他の医療機関や診療科から、相互作用のある薬剤が処方されている場合
例)泌尿器科からクラリシッド(クラリスロマイシン)、耳鼻咽喉科からトリルダン(テルフェナジン)が処方されている場合

4 処方箋の記載内容が不足している場合
例)用量や用法が記載されていない場合

その他、処方箋の有効期限切れ、患者さんからの希望等によって問い合せることもあります。

■ 薬剤の調整

剤形による調剤方法の相違はありますが、基本は処方箋に忠実に、注意深く、正確に調整することに他なりません。

気をつけるべき点は、薬品名と数量を間違いなく調整する他に、
1 錠剤・カプセル剤の単位
2 散薬・シロップ剤の用量%
3 外用薬の%や包装単位など

■ 薬袋

処方箋の記載内容に忠実に、患者さんに分かりやすい色と配置で記載していきます。

用量・用法に応じて数種の内袋を作成します。コンピューター出力(レセコンで作成機能が付いているものもあり)する場合を除いて、使用頻度の高いものはあらかじめ印刷しておくなどの工夫必要。

外袋には、患者氏名、用法・用量、調剤年月日、調剤した薬剤師氏名、調剤した薬局名と所在地を記載します。

■ 情報提供と情報収集(服薬指導とカウンセリング)

患者さんに、処方されている薬剤を安心して服用(使用)してもらうために必要な情報を整理します。

1 服用回数、服用時間
2 服用方法、使用方法
3 保管方法
4 副作用
5 他の医師にかかるときの注意
6 生理的影響(尿や便の色調)
7 飲食物や嗜好品について

その他に、服用(使用)の必要性を説明して、患者さんのコンプライアンス向上に貢献しましょう。

医薬品情報カードなどには必要な事項(効能、副作用、注意点など)が印刷されるよう設定しておき、カードを使用しながら説明するとさらに効果的と考えられます。

気をつけるべき点として、告知されていない癌患者さんの場合や薬剤によっては処方医師の意図と異なる説明をしてしまうかもしれない場合が考えられます。このような場合、処方医師に連絡をとり、対策を練るのが良いでしょう。

また、患者さんの理解力を十分に考慮しわかりやすい言葉で説明し、理解できたか確かめるべきと考えます。

患者さんのプライバシーに関わる問題もありますので、それを考慮した薬局の構造や声の大きさに気をつけましょう。

また、薬剤を交付する際には患者さんの悩みや意見を聞き出すことも大切です。患者さんによっては、気難しく聞き出すのが困難な方もいますが、医師の前では緊張して話せないことなども、薬剤師の前では結構話してくれるものです。

ここでのやりとりから、患者さんの副作用に気づき、副作用症状の悪化を防いだり、別な疾患の可能性を見出したりすることもできます。患者さんの治療に役立つ情報については、処方医師と連絡を取り合い、情報を共有化することが大切です。

■ 薬歴簿

薬歴簿とは、簡単に言えば「薬のカルテ」です。お医者さまが患者さんのカルテを残しておくのと同様に、薬局に来る患者さんが普段どのように薬と接しているかについて記載していきます。

薬歴簿の完備された薬局では、患者さんが処方された薬剤を安心して服用(使用)できるよう、患者さんの体質やアレルギー歴などの個人的データはもとより、現在までの薬剤服用(使用)歴を記録しています。

これをもとに、重複する薬剤や相互作用を起こす薬剤などを発見し、重大な事故につながらないよう注意をはらって
います。

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